高菜(漬物)の歴史
高菜漬とは、高菜を塩漬けにした漬け物のことです。
九州の代表的なお漬物で、信州の野沢菜漬け、広島の広島菜漬けとともに
日本三大菜漬として知られています。
高菜漬がいつごろから作られるようになったのでしょうか。
平安時代に発行された『新選字鏡』には「太加奈(たかな)」、『延喜式』には「菘(たかな)」、『和名類聚抄』には「タカナ」の名が記載してあります。
どうやらタカナと呼ばれる野菜は1000年以上前に中国から伝えられたようです。
その後、タカナは日本各地に広まっていきますが、このタカナと現在の高菜漬けの材料になっている高菜は違うと考えられています。
現在の高菜でよく知られている品種は、以下の3品種です。
・三池高菜
三池高菜はアブラナ科の多肉性タカナの一種で、紫がかった大きく肉厚の葉が特徴。明治後期に旧柳川藩主・立花公の命で、中国四川省の「四川青菜」に在来種の「紫高菜」を交雑させて生まれました。
・阿蘇高菜
阿蘇高菜はアブラナ科のカラシナの一種で、ギザギザとした葉が特徴。古くから熊本県の阿蘇地域では、どの家でも高菜を栽培していたそうで、各家庭によって形や味にバラつきがあったそうです。それを特産品にしようと、熊本県阿蘇事務所が地域の農家に種と樽を支給したのが始まりとされます。
・雲仙こぶ高菜
雲仙こぶ高菜はアブラナ科のカラシナの一種で、茎に小さな突起があるのが特徴。戦後の1947年ごろ、中国から引き揚げてきた長崎県雲仙市出身の峰眞直氏が持ち帰った種から雲仙地方の風土や食文化に合うよう改良を重ねて生まれたものです。一度は雲仙地方で盛んに栽培されるようになりましたが、やがて衰退。しかし2002年に地元で「雲仙こぶ高菜再生プロジェクトチーム」が結成され、保護活動が行われています。
どうやら現在私たちが食べている高菜漬けは、
比較的古い三池高菜でも明治後期に生まれたようです。
しかし漬物自体は8世紀には日本にあったと言われ、
前述の『延喜式』でも塩漬や醤漬、糟漬などが記載されています。
在来種のピリッと辛い葉物野菜を使った高菜漬けに近い食べ物は
昔から九州では食べられてきたのでしょうね。